君を想う
「へー、一緒に映画行ったんだ」
ばか正直に昨日のことを話すと観月さんはやっぱりみたいな顔になった。
「誤解しないで下さい。田辺さんが映画の招待券を貰って他に一緒に行く人がいないって困っていたから、それで行っただけなんです」
「それが事情?なんだ、そういうことね。だったら気をつけた方がいいよ。噂ってあっという間に広がるから」
観月さんと分かれて受付に行くと瞳子さんも噂を聞いたらしく、いろいろと訊いてきた。
「里奈、昨日、田辺さんと出掛けたの?」
「もう、瞳子さんの耳にも入ったんですか」
「この間、話した時はあまり興味なそうだったのに、いつから付き合ってるの?」
ホントだ。観月さんの言った通り噂って直ぐに広まってしまう。
それも完全に付き合っていることになってるし……。
「その事は誤解なんです。田辺さんとは付き合ってません」
「えっ、付き合ってないの?だって……さっき聞いた話しだと……」