君を想う


昨日、田辺さんと一緒にいた理由を瞳子さんに話すとやっと噂は経理部の女の子達が話しを大きくして流しているものだと分かってもらえた。


「なんだ、映画を一緒に見ただけって事?私はてっきり田辺さんが告白して里奈と付き合い始めたのかと思った。
そういうことなら、ちょっとまずくない?経理部の女の子達に本当のことを話して、もうデマは流さないように口止めした方がいいよ」


たしかに、付き合ってもいないのに、そんな話しが会社中に広まったら田辺さんにも迷惑をかけてしまう。
帰りに早めに更衣室に行って経理部の女の子達と話しをしてみよう。

受付の内線電話が鳴り出た。


『はい、受付です』

『開発事業部の藤崎だけど、これから二人、来客が来る予定なんだ。それでこのあと、喫茶室を使いたいんだけど大丈夫かな?』


『大丈夫です』


『じゃあ、来客が来たら先に喫茶室に通してもらえるかな?』


『分かりました。飲み物はどうしますか?』


『二人とも日本茶でいいと思う』


『分かりました』


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