君を想う
急げば17時だいの最後の電車に間に合うんだけど……。
18時の電車は乗る人が多くて混むんだよね。
走って駅に急いだ。
何とか間に合って乗ることができて。
空席も運良くあったから座って一息ついた頃、瞳子さんの話しを思い出した。
瞳子さんが言ってた『いい男』ってどんな人なんだろう。
今まで、何人もの男の人達が誘う度に瞳子さんにフラれてる。
あの瞳子さんがいいなって憧れていた男の人ならきっと、凄い人なんだろうなぁ……ちょっと気になる。
何日か経ったある日の午後。
「えっ?……藤崎さん!?帰って来た……」
瞳子さんは突然声をあげた。
フジサキさん?
瞳子さんは急に頬を押さえてある一点を見つめた。
その先の視線を辿ると二人の男性がこちらに向かって歩いて来る。
「瞳子さん知り合いなんですか?」
瞳子さんは完全に回りをシャットアウトして二人の男性のどちらかに集中していた。
「瞳子さん聞こえてますか?」
何を訊いても今の瞳子さんには私の声なんて聞こえてないみたい暫く待つしかないみたいだ。
瞳子さん……何だかいつもと違う……。
私の視線は二人の男性ではなくて隣に座る瞳子さんに向いていた。
こんな乙女の瞳子さんを見るのは初めてかも。