男と女と友情と



私は突然に呼び出されたから荷物を会社に置いていた為に取りにもどった。
さっき置き去りにして帰った彼の名は真白。


同じ会社で働く同期の一人だ。
入社して半年後に真白に告白をされて付き合うようになった。真白は優しくて私を大事にしてくれた。


もう一人、同じ同期の夏美も私達が付き合う事になったのを喜んでいてくれた。
もしも、この時に私が夏美の気持ちに気づいていたらこんな事にはなっていなかったのかもしれない。


一昨日の会社帰りに私は夏美に話があるからと言われ、会社の近くにあるカフェに行った。
この時は何だろ?くらいにしか思ってなかったが、珈琲がテーブルに運ばれて、お互いに一口飲んだ後に夏美が話しだした。


「優香…私ね、ずっと真白が好きだった。
ねぇ…真白と別れてくれない?私ね、真白と寝たの。」


「えっ?」


「優香は美人で仕事も出来て、彼氏だって直ぐにできるでしょ?私は人見知りだし美人でもない。だからお願い、真白と別れて!」


一瞬、私は頭が真っ白になりそうだった。
まさか夏美がそんな事を言うなんて思わなかったからだ。


私は暫く無言で考えた。真白と夏美が寝た事よりも、夏美が私を親友だと思っていなかった事が辛かった。仕事が出来るなんて私は思っていない。努力しているだけだ。あんなに仲良かったのにこんな形で裏切られるなんて思ってなかった。


今更になってこうして私の前で真白が好きだと言えるなら、もっと前に言ってほしかった。
私は何だか笑いが出てきた。


「寝とるくらい好きなんだ?じゃあ夏美のお望み通りに真白と別れてあげる。今から私と夏美は親友でもないし、会社でも必要以外ははなしかけないから!」


そう言って私は伝票を持って行き、支払いを済ませてカフェを後にした。


真白を信じてたし愛していた。だけど涙は出なかった。真白だって夏美と同罪だ。口では愛してるといいながら夏美と寝たんだから。


これが一昨日の話だった。


所詮は同期でも男と女だ。
私と真白が付きあったように、夏美と真白もまた男と女…。


私は会社に着いて入社した時の事を思い出した。一緒に飲みに行ったりして仲良くしていたが、結局は恋がからむと親友であろうが、恋人であろうが裏切られるんだと。
不倫だってそうだ、家族の前では笑顔を振りまき、愛人の前では体を許すのだから。


真白と夏美のデスクを眺めていたら、気づけば私の頬に涙が流れていた…。





< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

恋愛シュミレーション

総文字数/3,533

恋愛(ラブコメ)5ページ

表紙を見る
恋の契約は永遠に

総文字数/55,860

恋愛(オフィスラブ)90ページ

表紙を見る
クールな彼と甘い時間

総文字数/993

恋愛(オフィスラブ)1ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop