ずっと好きだったんだよ 番外編 ~悠也 side~
「だから、よくないって」


そう言って、俺は奈緒の腕を離そうとする。

だけど、奈緒は離されまいと俺の腕にしがみつく。

そんなやり取りを、陽輝は何か言うわけでもなく、にこにこと笑って見ていた。


そんな事をしながら歩いていると、二次会の会場であるカラオケ店の前に栞が一人、立っているのに気付いた。

奈緒も栞に気付いたらしく、俺の腕を離す。


「栞、どうしたの?みんなは?」

「うん、みんなは先に入っているよ」


奈緒の問い掛けに栞は答え、俺をチラッと見る。

そして、栞は俯き、


「悠也……。ちょっといいかな……?」


そう言った。


「あぁ。どうした?」


俺が返事をすると、栞は顔を上げ、少しホッとしたような表情をした。


「じゃぁ、俺ら先に行ってるな」


陽輝は奈緒を連れて、カラオケ店の中に入って行った。


「ごめんね」

「いや。それより、久しぶりだな」


栞とは別れた以来、会ってもないし、もちろん連絡も取っていない。


「うん。あのね……」

「あっ!阿部じゃん!!」


栞が何かを言いかけた時、休みの日以外、毎日聞いている声が聞こえてきた。

その声の主は……


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