人格障害の子に恋をした
 違和感はどんどん広がり、私はマスクをつけなければ外出できなくなっていた。表情を人に見られるのが怖かったからだ。

精神科に行ったが、思春期によくあることだと言われ、ほとんど相手にしてもらえなかった。

スクールカウンセラーにも話を聞いてもらったが、解決にはならなかった。

私を助けてくれる人は誰もいない。私は自分でこの苦しい状況を作った。だから、自分で何とかするしかないのだ。そう思った。



 そして、高校3年生の夏、急に思い立った。



精神科医になろう。



進学校にいながらも、高校生活のうち一切勉強などしていなかった私が、しかも文系選択だった私が、国立医学部受験のために、猛勉強を始めた。

センター試験を受けた結果、その点数は、学部を選ばなければ、国公立大学に入るには十分だった。

しかし私はどこも受けなかった。

医学部しか受けたくなかったからだ。しかし夏から、一から始めた勉強では医学部の問題など一問も解けず、極端な考えを持った私は、どの大学も受験しない、という選択をした。

自らが選んだことだった。


そのまま、親に頼み込み、予備校に入れてもらうことになった。半分は私のお年玉貯金から、半分は母親が、予備校の授業料を払ってくれた。

私は猛勉強をした。来る日も来る日も、寝食を忘れて勉強した。

高校生活の悔しさや、やりきれなさを、医学部に入ることで、なおかつ、精神科医になることで、解消したかったのだ。


ところが…


センター試験の1ヶ月前、急に勉強に手をつけられなくなった。
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