B級恋愛
外は茹だるような暑さでクーラーの効いている職場は心地よい。お客さんが世話しなく入り時おり常連さんと他愛ない話をしながら過ごすというありふれた毎日。
昼休憩のこの時間テレビを点ければ若者向けの情報番組が映し出されているが杏子は興味がない。無駄に煩いと感じてしまうのは40に近い女の言い訳だろう。普通にニュースを見ていた方がいいとさえ感じる。そもそも杏子自身テレビなど全くと言っていいくらい見ないのだが。
だがこの日は点いていたテレビに感謝しようと感じた。
ガラ-ッ…
休憩室のドアが開いて市川が入ってきた。コンビニ弁当を開封して頬張る。辺りを見渡せば他の人の姿はない。
(どうしたものか…)
会話がない空気が耐えがたいと感じるのは市川と二人っきりだからだろうか。何を話したらいいのかわからない。仕方なく観る気のない番組に視線を移す。
若者向けの情報番組は耳障りでしかなかった。
「相崎さん」
帰り際に呼び掛けられて立ち止まる。
「市川さん、どうしたんですか?」
プール倉庫側の喫煙所に市川の姿を見つけ
側による。火を点けたばかりなのだろう。加えているタバコは長いような気がする。
「お疲れさまです、休憩ですか?」
「ああ」
杏子に短く返事をしてタバコを吸い込む。
――――その姿にふと昔の事が思い返された。
「市川さんって紳士なイメージがありました」
「え?」
杏子の唐突な発言に耳を疑う。
「実習の最終日にお菓子を渡しに来た時市川さん火を点けたばかりのタバコ灰皿に押し付けたの…覚えています?」
「…いや…」
そんなことをしただろうか?ふと思い返す。基本、誰がいようと吸いたいときに吸うというスタイルを崩さないのだ。
「そう言うところ、凄く素敵だなって思いました」
「あっそ…」
杏子の言葉に素っ気なく返す。
それから何となく気まずいような感じがして会話が進まず杏子は「お先です」とだけ呟いてその場を離れた。
昼休憩のこの時間テレビを点ければ若者向けの情報番組が映し出されているが杏子は興味がない。無駄に煩いと感じてしまうのは40に近い女の言い訳だろう。普通にニュースを見ていた方がいいとさえ感じる。そもそも杏子自身テレビなど全くと言っていいくらい見ないのだが。
だがこの日は点いていたテレビに感謝しようと感じた。
ガラ-ッ…
休憩室のドアが開いて市川が入ってきた。コンビニ弁当を開封して頬張る。辺りを見渡せば他の人の姿はない。
(どうしたものか…)
会話がない空気が耐えがたいと感じるのは市川と二人っきりだからだろうか。何を話したらいいのかわからない。仕方なく観る気のない番組に視線を移す。
若者向けの情報番組は耳障りでしかなかった。
「相崎さん」
帰り際に呼び掛けられて立ち止まる。
「市川さん、どうしたんですか?」
プール倉庫側の喫煙所に市川の姿を見つけ
側による。火を点けたばかりなのだろう。加えているタバコは長いような気がする。
「お疲れさまです、休憩ですか?」
「ああ」
杏子に短く返事をしてタバコを吸い込む。
――――その姿にふと昔の事が思い返された。
「市川さんって紳士なイメージがありました」
「え?」
杏子の唐突な発言に耳を疑う。
「実習の最終日にお菓子を渡しに来た時市川さん火を点けたばかりのタバコ灰皿に押し付けたの…覚えています?」
「…いや…」
そんなことをしただろうか?ふと思い返す。基本、誰がいようと吸いたいときに吸うというスタイルを崩さないのだ。
「そう言うところ、凄く素敵だなって思いました」
「あっそ…」
杏子の言葉に素っ気なく返す。
それから何となく気まずいような感じがして会話が進まず杏子は「お先です」とだけ呟いてその場を離れた。