〔企画〕ぼくらのひみつ基地
ヒソヒソ声で悩みを話そう



公園の木の影。押し入れの奥。物置の片隅。

そこはぼくらのひみつ基地だった。


いろんなことを話した。馬鹿みたいなことを真剣に。

それぞれの悩みを持ち寄って、みんなで相談したり。
嫌いな猫が居座っているのを、追い出す作戦を立てたり。母親に見つからずに押し入れの奥で母の怒りが収まるのを待つにはどうしたらいいか、とか…そんなことを考えたり。


物静かな涼子(リョウコ)、勝ち気な楓(カエデ)、能天気な理恵(リエ)。
馬鹿なリーダー達貴(タツキ)と、僕、秋(シュウ)。

腐れ縁の5人組。幼稚園の時からずっとクラスが一緒。女子3人、男子2人。

ちょっぴり男子の方が弱かったりする。まあ、いつもは女子がこっちをたててくれてたけど。


ある日、ひみつ基地に集まって話をしていたときのこと。


────────……


腕組みをし、胡座をかいてる達貴が言った。

「いいか?みんな。今日の指令は、みんなの悩みを解決することだ。でも。注意することがある。」

そこまで言って黙る達貴。聞いて聞いてオーラが滲み出ている。…仕方なく僕が声をかける。

「……………なんだよ?」

「いいか?俺らは小学生だ。
こどもはこどもらしい悩みをもつことが大切らしい。ってなわけで、俺ら小学2年生らしい悩みを話し、解決していこうではないか!」

ニヤリと笑って、高らかに宣言した達貴に苦笑いする。すると、楓が眉を寄せながらピシャリと言い放った。

「達貴、ここはひみつ基地よ?そんなに大きな声だして、誰かに見つかったらどうするのよ?みっしょん達成できなくなるよ?」

その言葉に涼子は頷き、理恵はニコニコ笑って2人を眺めてる。達貴はというと、ちょっぴり厳しめの言い方に、ほんの少し落ち込んだようだ。

でも、そこは達貴だ。すぐに持ち直して、問い直す。今度はヒソヒソ声で。

「では、早速悩みを言っていこう。」


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