SEXY-POLICE79
草間はやっとお出ましかと懐から符を出して構える。河和も草間に続いて符を手にし、相手の動きをうかがう。時間的にもそろそろ獲物が出てきても良い時刻だ。

草間は懐中電灯を照らして物音の聴こえた場所へと進んでいくと、床には空き缶が転がっていた。一気に緊張感が抜け落ちる二人。

「何だよ、空き缶の倒れた音かよ。ったく余計なモンに緊張しちまったぜ」

「風で倒れたんですね。やられました」

「やられたって空き缶にだぜ?河和、絶対に速水には言うなよ。笑われるから」

畜生と草間は空き缶を蹴飛ばして符を懐に戻す。せっかくやる気になった彼なのに水をさしてしまった…というか油を注いだというか。やれやれと河和は額に手を添える。

「わかってますよ。俺だって空き缶の倒れた音に驚いた、なんて知れたら笑い者ですからね」

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