SEXY-POLICE79
「―――ッ!」

心臓が撥ね上がった。荒い息が繰り返され身体は汗で濡れている。

また…、なのか…――。

草間は額を抑えてぶるぶると震えた己が身体を抱きしめる。

どうして…。

毎晩のように夢に見る肌寒い暗闇の中から迫り来る黒くて恐ろしい、
――――何か。血まみれに染まりし錆びた鉄の臭いに襲いかかる暗闇の、出口のない終りすらない永遠と続く赤い道。

「随分と、うなされていたな」

「……六合」

誰もいない場所から突然姿を現した男性に草間は小さく六合(りくごう)と相手の名をよぶ。

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