SEXY-POLICE79
「おっそいわねー克哉のやつ。セットするだけに何時間かかってんだか」

「まさか逃げたとか~」

女三人は言いたいほうだいで、火龍だけは一人いやな予感がしてならない。

迫ってくる……迫ってくる。

キャー!!という女の悲鳴。振り返ると関口が倒れていて、首筋には何かに噛まれたような痕が。何かがきた…。女二人は怖くなって我が身を先に逃げ出して、下にとめてある車めがけて走っていく。そんな中、火龍だけは逃げなかった。いや、逃げられなかったのだ。

響き渡る女二人の悲鳴に鼻をつく血の臭い。逃げなきゃころされる…!ガサッと葉音が聞こえ、火龍はドキドキと心臓を高鳴らせてゆっくりと振り返ると、そこには涙を流した小さな女の子がいた。ホッと火龍の心に安堵の息がこぼれる。

「どうしたの?迷子?」

女の子は泣きながらこくりと頷いた。こんな時間に子供一人を連れて神社に来るなんて、なんて親なんだ。おまけに迷子だなんて、こっちはこっちでなんか変な事になってるし。

血だ!血をよこせ!!

「――ッ!」
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