SEXY-POLICE79
倶召神の言い分も最もだ。草間は立ち上がりかけた椅子に再度腰を降ろしてパートナーが到着するのを待つ。

『緊急ニュースをお伝えします。昨夜未明またも貴船神社周辺で遺体が発見されました。被害者の名前は……』

店のテレビで放送される、貴船の殺人事件を聞いて草間は限界を超えた。倶召神の叫び声も無視して、草間は貴船に向かおうとする。

「草間さん!」

新しいパートナーもまだ到着していない、仮に倶召神がパートナーとしても、これはあくまでも仮であって、正式なパートナーではない。仕事は二人一組で行うのがうちのルール、パートナーも連れずに現場に向かうなんて、秘書殿に知れたら確実に雷が落ちるに決まっている。それでも草間にとって、じっとしているなんてそんな理不尽なことできる筈がない。

「もうわたしは知りませんよ」

倶召神は草間の性格を知っているのか、それ以上なにも言わない。いつになっても来ないパートナーが悪いんだ、と草間は店を飛び出した。しかし、こちらから貴船まで歩くにはいくら何でも骨がある、どうせなら人間界の車の運転免許ぐらいとっておくべきだったか。草間は実体化を解き死神となって、空を飛び貴船山を見るなりその方向めがけて全速疾走だ。

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