SEXY-POLICE79
「あの、私は…」
「あんたは『死神』だ」

草間は相手が動揺しているにも関わらず更にきつい追い込みをかける。しかし嘘を教えるよりは率直に言うべきだ。草間は更に続けて自分は何者なのかも、『死神』についても事件の事についても全て明らかにする。いっぺんにきいた憶えのないことに男笹木は更に動揺が深くなりぶるぶると肩が震えを刻んでいた。

無理もない。自分も最初はそうだった。自分がなぜここにいるのか、なぜ死んだのかも憶えていない。自分と同じ、闇をもつものがひとり。

「ではパートナーさんも見つかったことで私はこれで」

むんず、と捕まれ前に進まないと思いきや草間が服の袖を握っているではないか。倶召神は放してくださいと前に進もうと必死だ。

「おいコラ倶召神。なに一人だけとんずらしようとしてんだよ」
「パートナーさんは見つかりました。私の役目は終了デス」

厄介ごとはごめんだと言わんばかりに、倶召神は『死神界』に戻ろうとするが草間がそれを許すわけがない。袖を引っ張っててめえも付き合えと脅しで協力……いや、脅迫か「手伝わねぇと焼き鳥にするぞ」と倶召神を奈落のそこへ。敗北した倶召神は草間に付き合うこととなった。

「千秋、気がついたとこ悪いがさっそく…」
「…お腹すきました」

ぐぅと腹の虫が鳴る。そういえば時刻はもう太陽が沈み、星がちらちらと顔をだしている。それは腹も空くはずだ。草間たちは夕食をとるために近くの喫茶店へ踏み寄ることにした。と、その時だ。

《……羽鳥》

と突然響く低い声。耳にではなく、頭に直接聞こえる聞き覚えのある男の声。六合か、と草間は心の中で語ると彼は貴船の事について語りだす。実は自分が帰る最に『神将』たちに現場の探索をお願いしていたのだ。その代表で六合が来たのだろう、他の神将たちはまだ探索を続けているようだ。

「…そうか、解った。朱雀と青龍にはもういいって言っといてくれ。六合も、もう戻っていいぞ。ご苦労さま」

《……俺はただ、『式神』としての任を果たしただけだ》

そう言って彼の声は止んだ。

「どうかしたんですか?草間さん」

倶召神が草間の深刻そうな表情を見て問いてくる。草間はなんでもないと軽く笑ってまた眉にしわを寄せる。ひとり蚊帳の外の笹木千秋は、そんな彼の表情を見落とさなかった。

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