SEXY-POLICE79
「やめろ―――っ!!」

絶叫と共に起き上がる草間羽鳥。息が乱れて額には汗がつたう。
また…、夢……?

はぁはぁと乱れる息遣いにすこし痛む頭。

「大丈夫ですか?」

草間の大声にパートナー笹木千秋が心配の表情でこちらを見る。

「ここ…どこ」

今の彼が気になっているのはまずそれであった。見たところどこかのホテルなのは明らかだが、自分はいつこんな所に来たのかまったく記憶にない。

「体のほうは大丈夫ですか?」

と千秋は草間に問う。草間は目をしばたかせて頭上に何個か?をとばす。

「え?からだ??」

「そうデスよ。まったくびっくりさせないで下さい」

と、倶召神まで心配の色を浮かべているではないか。自分はいったいどうしたんだ、と千秋や倶召神に聞くと突然倒れたと言われる。どうやら六合の連絡で考え事をしている矢先にばたりといってしまったようだ。……記憶にないが―――…。

「いま、何時?」

気づくと時刻は犬の刻をさしていた。草間はがばっと起き上がるとふらりと貧血がおそう。千秋や倶召神が心配するなか草間は貴船神社に行くぞ、支度をしろと汗ばんだ肌にぜぇぜぇと荒い息を繰り返しながら言う。当然彼ら二人が許すわけはなく止められるが草間はそれでも引かずに強く主張する。夢に見たあの光景。陰陽師が見る夢には必ず何か意味がある、と前のパートナーは言っていた。それなら。

「呪祖が完成体に近づいてる。早く阻止しないとあの子が死ぬ」
「あの子って……」

そう、写真にうつっているこの女性だ。
草間たちは即刻また貴船神社に向おうとするが記憶喪失の彼には実体化を解くことはできない、というより知らないのだ。草間はまた術を使って彼の身体を人間に見えなくする、本当はこんな事に貴重な術を使いたくはないのだが仕方ない。見えなくなったところで、草間たちは空をのぼり殺人が起きた貴船神社に向かうのであった。








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