SEXY-POLICE79
本当にここがあの清らかな貴船神社なのか。着いたそこは、禍々しい怨念に満ちあふれた場とかた霊気の欠片すら感じられない貴船の姿だった。
警察のパトカーが何台か止まっている。けど警備員の人の姿はない。

どうなってる…何かあったのか……。

草間たちは貴船神社の中に脚を運ぶ。上にあがるごとに、ばたばたと瘴気にあてられ倒れたと思われる警備員たちがあちこちでふせっている。それでも一番瘴気の濃い場所が、笹木千秋が倒れていた場所、貴船神社本宮であった。
しかし何故だ。

「―――ッ」

一人の警察官が意識を取り戻したのか、小さくあがく声。草間は大丈夫かと声をかける。

「何があったんだ」

警察官はまだ意識がはっきりしないのか腹を抑えて草間の顔をみる。
誰だ……ひと…?
自分はいったいどうなったんだ。生きているのか。あの女……白い衣にさらさらとなびく黒い髪。――いや待て、人だって?ここは確か…。

「バカヤロ―!!!」

突然怒鳴られてびくっと肩が撥ねあがった草間は、思わず抱えていた警察官を落としてしまうところであった。怒鳴った後、激しく咳き込みだす警察官は腹をどうかしたのか、ずっとさっきから抑えている。草間は怪訝に思って、ちょっと失礼して警察官の腹に触れる。肋が二、三本いかれているようだ。それは痛いはずだ。陰陽術を使えばこんな傷治すのは簡単なのだが……、人間に術を使うことは禁じられている。

「くそっ、そんなこと言ってられっか」
「ダメですよ。草間さんそれは」

倶召神の言い分も無視して草間は剣印を結ぶ。微弱だが温かい光りが警察官の身体を包み込み痛む傷口が徐々にひいていく。

温かい、なんで…。
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