SEXY-POLICE79
看護婦は二人の深刻な会話を聞いて診察を終えるとそそくさと去っていった。空気がおもい。 その空気を打ち破ったのは桐野警部補だ。まだ病み上がりだというのに、ベッドを立ち上がり桐野は背中を向けた草間の首ねっこひっつかんで、ぐりぐりぐりと頭をひねる。草間は突然の桐野の行為に驚いた。

「痛い痛い痛い!!放せ、桐野ッ」
「いっちょまえに格好つけてんじゃねえぞガキが。大人を甘く見んな。だてに警部補やってるわけじゃねー。それにあんたらよりは情報豊富だぜ」
「それでも…駄目だ」

草間はそれだけ言うと桐野の病室を去る。千秋は彼の後を追った、病室には倶召神だけが取り残された。

重い沈黙。

「なんか…俺、変なこと言ったか?」

桐野警部補は二人が去っていった扉を眺めながら倶召神に語りかける。が、倶召神は何やら熱心にパソコンとにらめっこ中で話はかきけされた。桐野は面白くないとふんずりかえって病室のベッドに身を預ける。外では鳥たちが小さく鳴く声。

「な――」
「あなたも変わっていますね」

桐野の問いを遮るように倶召神が口を開いた。

「不思議に思わないんですか?私たちのことを」

それは最もな発言だ。最初もそうだが、彼には驚きというものがなさすぎる。いくら細かいことは気にしないとはいえこれは平然としすぎだ。倶召神が言いたい事がわかったのか桐野は軽く鼻先で笑って言う。

「そりゃあ、気になるさ。あんな回復術を目の前で見せられたんだからな」
「なら何故」
「それを言って、すんなり教えてくれたのかよ」

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