SEXY-POLICE79
言葉に倶召神は口をつぐむ。言えるわけがない。自分たちは『死神』で幽霊退治をしていますなんて。倶召神が押し黙ると桐野は、はぁと深いため息を出す。言えねーんじゃねぇかと煙草の煙が天をのぼり静かな病室にかき消える。

「言った所であなたは信じるんですか」

倶召神が言う。

「内容によるな」

と桐野。

本当は自分ではなく草間から直接聞くべきだと思うが彼はあまりこの事については語りたがらない。倶召神はパソコンを一旦閉じて桐野の近くまで飛んで近寄ってくる。 倶召神が語り出す自分たちの正体。初めて聞かされた内容にさすがの平然さもかけて桐野は危うく手に持っていた煙草を落としそうになった。

「『死神』…?って、あの死神か?」

人間の知っている知識では、鎌を手にして黒い服をまといドクロが印象的なあの……!明らかに嘘八百な発言に桐野は笑いが止まらない。

「笑いごとじゃありません。こっちは真剣なんデスよ」
「悪い悪い。けど、まさか本当に『死神』なんてのがいたなんてなぁ」
「あのね―」

(全っ然信じてないデスね。この人)

桐野はまだ笑いが止まらないのか腹を抑えて笑いを無理矢理堪えていた。そんな時、病室の扉が叩かれ誰かが入ってる。

「桐野、入るぞ」
「しょ、署長!!」

入ってきた人物に驚いて桐野の笑いは消えた。署長には桐野と違って、類まれなるチカラがないのか倶召神の姿は見えておらず、すうとすり抜けては先ほど倶召神のいた所まで来て椅子に腰掛ける。さすがに自分より上の人が来たことに驚いた桐野は緊張を隠せず、ぎこちない空気が漂う。

「傷のほうは大丈夫なのか?」

署長は桐野の腹にまかれた包帯を見て問う。

「は、はい。こんな傷たいしたことじゃありません。それよりすいません、署長にまで迷惑かけて」
「なに、部下を思いやるのも上司のつとめだからな。それより貴船神社の件、被害が増大だな」
「…わかっています」
「それと、病人にこんな事を頼むのもなんだが…」
「はい?」
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