SEXY-POLICE79
千秋の言葉に草間は視線を左にむけると、確かに人影があった。それも、桐野警部補が言っていた白い衣をまとい、風も吹いていないのになびいている黒髪、間違いない、あの人だ。ここからではよく見えない。

が、手に確かに何か光るものを持っている。草間たちは急いで階段を駆け上がり、貴船神社本宮に到着する。そして左に曲がり、大きな御神木の生えた木にたどり着く。そこに彼女はいた。木の幹にはわら人形が突き刺さり、手には釘とそれを打つための金槌が握られている。

「もうこんなことはやめるんだ!!」

草間が叫ぶと白い衣をまとった女は、ゆらりとこちらを振り返る。

《アナタモワタシノジャマヲスルノ ジャマヲシナイデ!!!》

ぶわっと駆け抜ける見えないチカラ。もうこれは怨霊レベルの問題でない。まさに伝説通り身も心も『鬼』となりはてている。倶召神は女の放つ威圧に負けて、女の子と一緒に物陰にひょこりと隠れる。女は手をかざし、幾千の風の刃で草間たちをおそう。千秋は記憶がなくても体にしみついているのか、しなやかな身のこなしで刃を交わし、草間は結界をはってそれを防ぎ懐から符を手にして呪文を唱える。

「臨める兵闘う者、皆陣をはり列をつくって前にあり!」

呪文と共に放たれる札は閃光を放ち女は悲鳴を上げる。草間は続いて印を結び呪文を詠唱する。
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