SEXY-POLICE79
草間は何を感じとったのか突然頭を抑えてその場にうずくまってしまった。 何かがおかしい。そう気がついたのは笹木千秋だ。千秋は痛む体を動かして草間の側に歩み寄る。震えている。

「草間さん、しっかりしてください!草間さん!!」
「――大丈夫、だ」

草間は言う。

大丈夫、この状態のどこが大丈夫だというんだ。草間の瞳は焦点が定まらず、びくびくとまだ震えが止まない。いったい急にどうしたというんだ。 妖鳥舜はその隙に闇の中に姿を消す。逃げられた。遠くに避難していた倶召神と女の子が物陰から出てくる。草間の様子にびっくりしたかのように倶召神と女の子は心配の色を浮かべる。それを草間は大丈夫だと言って立ち上がり桐野警部補と女のほうにむかう。 女はまだ何度もごめんなさいと繰り返して桐野はいいんだと女性をなだめてやる。 まさか本当に怒りで我を忘れた霊を鎮めてやるなんて草間は思ってもみなかった。さすが警部補だなと草間は彼を見直す。

「随分反省してるみたいだぜ」
「…そうだな」
『…ごめんなさい。ごめんなさい……』

呪祖は未完成なまま終わりをとげた。これで呪われた相手のほうは徐々に呪祖がはれて、すぐにでも苦しみから解放されるだろう。

「吸血鬼も彼女の仕業らしいしな」

呪祖を行なう為には生き血が必要なんです。それも大量の血がね。

赤い月夜に照らされる美しい白き容貌。自分が死んで大切な人を奪われ恨んでいたところにあの男は甘い声で囁いて私の心を狂わせた。大切なものを取り戻すためならどんな犠牲もいとわないと。悪魔の声で。

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