SEXY-POLICE79
犯人と争った形跡も遺体を焼いた痕跡もない現場に、犯人はどこで被害者を殺害したのか。桐野はいま運ばれようとしている中井刑事の遺体にかぶされた布をとって、どこか手がかりになりそうな箇所を探すが焼けただれた死体に証拠品が残るはずもなく。

「駄目、か」

運ばれていく中井刑事の遺体を、じっと見送る桐野警部補。

あまり親しみはなかったが桐野にしては先輩的存在だった人だ。事件捜査でもよく一緒に行動を共にしたっけ、と桐野は記憶をふりかえる。

「中井刑事…」

「おっと危ねぇ」

「しっかりしろよ」

布からぶらん、と垂れ下がる中井刑事の手には何か白いモノが握られている。

「ちょっと待て」

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