SEXY-POLICE79
超高層ビルシャローネの地下一階に建設された邸宅に、一人の少女が毬をついて遊んでいる。上の建物とは明らかに不釣り合いなこの邸宅は、娘の遊び場のために宗主様(父親)が建てたそうだ。それも京都にある平安京をモデルに構造したとされている。なぜ平安京をモデルにしたのか、それは宗主様のただの趣味であった。娘は毬をついて遊ぶのが大好きだったいつも遊びといえば毬つきしかなかった。

「どうかなさいましたか。もゆら様」
「彼らが…動きだした」

もゆらは毬をつくのをやめて空も何もない、壁で出来た偽りの空を見上げる。ここは小さな彼女にしてみれば広すぎるぐらいの大きなお屋敷で、悪くいえば牢獄と同じようなところだ。外を知らない空の色すら知らない小さく孤独な女の子。

「…また、絶えようのない赤い血が流れるよ。これでまたあの時の繰り返しだ」

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