SEXY-POLICE79
差異は投げられた。――――もう後には戻れない。

「早く輸血をっ」
「先生、血圧がどんどん下がっています」
「心拍数は?」

どたばたと慌ただしい手術室に、同時に二人の患者が運ばれた。二人ともひどい深手で、このままでは命が危ない。医者は二人同時に手術すると、患者を狭い手術室に運んだのだ。桐野は出血がひどく輸血が必要とのことで、同じ血液型の血を与えれば別に大事には至らない。一番危ないのは、右側に大火傷を負った西塔のほうだ。

手術室の前では爆発の連絡を受けた署長の咲守が、手をかざして二人の無事を願っている。二人がこの病院に運ばれて、いったい何時間がたっただろうか。後からまた別の患者が署長の前を横切る。横切ったのは肩や腕から血を流した須田検事であった。署長の顔色がどんどん血の気を失せて貧血で倒れそうだ。

「どうしてこんな…」

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