SEXY-POLICE79
第四章:開かれる扉の名は…
血のニオイ、
鉄の香り、
思い出させる昔のあの光景を自分は―――。
ジャラッと響く鉄のすせる音。背中に当たる冷たい感触。
そんなどこかもわからない場所(へや)で壁越しに手錠で繋がれた男はやっと目を覚ました。目前には自分を刺した犯人が控えている。桐野が目覚めたことを知った犯人はソファに腰を下ろしてすらりと長い足を組むと、犯人は顔を隠していたはずの深帽子を、くいとつり上げた。
須田が追い、逃げられたひったくり犯の素顔がいま明らかになる。しかし、傷口からの出血が多いせいか、軽く貧血が起きている桐野には犯人の素顔がぼやけてよく見えていない。桐野はくそっと舌打ちした。犯人はそれを知った上で帽子を上げたのだろう。
「僕はせっかちでしてね。待つことが大っ嫌いなんです」
「俺を…どう……す…きだ。人質…にでも……するき……か」
「いいえ。あなたは『鍵』なんですよ。あの世の世界の扉を開けるための大事な『鍵』なんです」
鉄の香り、
思い出させる昔のあの光景を自分は―――。
ジャラッと響く鉄のすせる音。背中に当たる冷たい感触。
そんなどこかもわからない場所(へや)で壁越しに手錠で繋がれた男はやっと目を覚ました。目前には自分を刺した犯人が控えている。桐野が目覚めたことを知った犯人はソファに腰を下ろしてすらりと長い足を組むと、犯人は顔を隠していたはずの深帽子を、くいとつり上げた。
須田が追い、逃げられたひったくり犯の素顔がいま明らかになる。しかし、傷口からの出血が多いせいか、軽く貧血が起きている桐野には犯人の素顔がぼやけてよく見えていない。桐野はくそっと舌打ちした。犯人はそれを知った上で帽子を上げたのだろう。
「僕はせっかちでしてね。待つことが大っ嫌いなんです」
「俺を…どう……す…きだ。人質…にでも……するき……か」
「いいえ。あなたは『鍵』なんですよ。あの世の世界の扉を開けるための大事な『鍵』なんです」