SEXY-POLICE79
「あなたどうしたの?ずぶ濡れじゃない。海で水泳なんてまだ早いわよ」

と、女は自動販売機に向かって温かい珈琲を須田に与える。冷えた体を温めてくれるホットコーヒーはとても美味しかった。

「さっきひどい爆発があってね。見て、橋が崩れて」

見なくてもわかる爆弾による被害の数々に須田の珈琲を握る手が強められる。

「大丈夫?顔色が悪いわよ。それに早く着替えた方がいいわ。このままじゃ風邪を引いてしまう」

と、言うや否や、須田の口から小さなくしゃみがひとつこぼれる。女はあらあらと温かく微笑んで、自分がまとっていたスカーフを須田にかけてやる。

「良かったらどう?私の家すぐ近くなのよ。風呂ぐらい貸すわよ」

「しかし…」

女性の家に男の自分が行くのはちょっと抵抗がある。須田が迷っていると、女はそんな緊張しないでさぁさ~、と須田の手を引いてずいずいと自分の家に連れていく。

「ちょ、ちょっと!!」

女に連れて行かれるまま数分後、須田が見たのは何十階ともあるビルの真ん前だ。女は「ほらほら」と言って須田の手を引いて、そのビルの中に入りエレベーターを使って女の部屋に向かう。エレベーターが止まり左に曲がると女の足が止まった。

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