ラブリー・トライアングル
圭がドライヤーのスイッチを入れて、私の髪にそっと指を絡める。


あまりの幸福感に、私はうっとりと目を閉じた。


ごうごうと吹く温かい風、そして圭の指の優しさ。

その心地よさのなかに、突如、乱入してきたもの。


「いたっ! ちょっと、なにするのよ!」


突然の痛みに驚いて振り向くと、そこには、不機嫌な顔で私を睨んでいるユキの目。

そう、ユキが嫉妬に狂って、私の肩を引っ掻いたのだ!


「こら、ユキ! なんてことするんだ」


圭が慌ててユキを叱りつけるけど、ユキは素知らぬ顔でごまかそうという魂胆らしい。

そうは問屋が卸しません!


「ユキのばか! あやまってよ!」


私はユキの頭をぽこんと小突いた。

それでもユキはつんと顔を背けたまま。


「ユーキー」


低い声で呼ぶと、ユキは唐突に手を振り上げた。

そしてまたもや、毎日のように研いで鋭くなった長い爪で、さっと私を引っ掻こうとする。


でも、それは予想の範囲内。

今度は私もすばやく身体を動かして避けてみせた。


ユキが悔しそうに鼻を鳴らす。


ふふん、私だって、やられてばっかじゃいられないのよ。



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