ラブリー・トライアングル
日に日に、圭のユキに対する愛情が深まっていくのを感じて、私はだんだんと焦りを覚えはじめた。


どう見ても、ユキは私の1000倍は可愛い。

圭が抱き締めると腕の中にすっぽりとおさまってしまう小柄さも、すごく可愛い。


これは、やばいんじゃないか。

そんな不安にさいなまれはじめた、ある日。


私とユキが同時に圭を呼んだとき、なんと圭は、ユキのほうに行ってしまったのだ。

私の中で焦りが爆発した。


ユキは実は、私の恋敵だったのだ。

しかも、めちゃくちゃ強敵だ。



圭はあいかわらず優しいし、私のことが好きだと言ってくれる。

でも、それは、ユキに対しても一緒。


私に言うのとほとんど同じ頻度で、ユキにも言っている。


『かわいいなあ、ユキは。大好きだよ』


そのたびにユキは満足げに目を細め、それから私の方をちらりと見る。


その目は確かにこう言っている。


『ほら、圭はアタシのことが大好きなんですって。やっぱり男は、クールな美女が好きなのよ』


それは、ユキと触れあうときの圭の様子を見ていると、否定できない。



―――そう。

つまり圭は、二股をかけているのだ。


私という彼女がありながら、ユキともラブラブなのだ。



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