ラブリー・トライアングル
「ちょっと、ユキ! 近すぎよ、離れて! 圭は私の彼氏なんだから!」


ぎろりと睨みつけてやったのに、ユキはまるで『聞こえてません』とでも言いたげに、つんと澄ましている。


「むむ……手強いな」


ユキが圭から離れるつもりもなさそうなので、私は仕方なく、ユキと反対側に腰をおろした。

もちろん、圭にべったりとくっついて。


「うーん、ミカ、ちょっと狭いな」


圭が苦笑いを浮かべて言うので、私は絶望的な気分になる。


「なんでユキは座らせてるのに、私には狭いとか言うの!」


私は頬をふくらませ、唇を尖らせて反論する。

圭が「仕方ないだろう」と眉をさげた。


「ほら、ミカはこっちにおいで」


そう言って圭が指差したのは、自分の脚の間。

つまり、ソファから降りて床に座れと言っているのだ!


さらにむっとした私に、圭が優しく笑いかける。


「髪、乾かしてあげるから」


圭は右手にドライヤーをもって、ちょいちょいと振ってみせた。

その瞬間に私の怒りも悲しみも吹き飛ぶ。


「乾かしてくれるの!? やったあ♪」


私はソファから飛び降りて、圭の足の間に座り込んだ。


私は圭に髪を乾かしてもらうのが大好きなのだ。



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