偽物ラブレター
その声の持ち主の方に振り向くと、目を丸くした大地。



「お前、なんで泣いてんだよ!」


私が泣いてる?
頬に触れると雫が流れていた。



「あ…れれ………?」


私の涙に気づいた人はチラチラと私を見る。


こっち、というかのように大地に強引に腕を引っ張られた。



ついたところはいつも語り合う、中庭のベンチ。
2人で腰を下ろすと、頭を撫でられた。



「山峰となんかあったのか?今日は楽しみにしてた、山峰の誕生日なのに……」



別に何かあったわけじゃない。
私が勝手に傷ついてるだけ。
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