偽物ラブレター
俺の腕には杏樹がいる。
誰にも見せないような表情をして。。
「杏樹の香りっていい匂いだな。」
耳元で囁く声を出すと、すっかり酔ってると確信した杏樹はおれの腕から出ようとした。
そんなことはさせないぜ?
「俺から離れたいのか?そりゃー、そうだよな。。ずっと冷たい態度だったもんな。」
強く抱き寄せて、杏樹の背中に頭の体重をかけた。
「竜志くん、酔ってるんだよね。竜志くんが私にそんなことを言うはずないもんね。」
「酔ってないし……杏樹ちゃんが俺に振り向いてくれないからだろ?」