偽物ラブレター


あれから角度を変えて重ねる唇。


優しいキスになぜか涙が溢れてきた。


こんなに私を見てくれたことはないに等しい、竜志くんからの視線。




「杏樹、なんで泣いてんの?」


優しい眼差しで私に問いかけてきた。



「竜志くん、なんで私にキスなんかしてくれるの?」



そう言うとまたキスを雨のように落とし、それは優しいものじゃなく激しく私を求めるかのようなものだった。



…………期待しちゃうよ?



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