偽物ラブレター


そう言うと、するすると力が抜けたみたいに抱きしめられた腕が解けていった。




“……離したくねーよ。”



その言葉は3回目の電話の音によってかき消され、私の耳には届かなかった。




離された体の態勢を起こし、竜志くんから携帯を返してもらった。



その電話を取ると、ゲホゲホと咳き込んでる大地の声が聞こえた。




「どうしたの、大丈夫?」


大地に呼びかける声とともに竜志くんの家を出た。



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