偽物ラブレター
ハンカチを取り出し俺に貸そうとした姿は朱音さんに似ていた。
けど、違うのはその差し出した手は小刻みに震えてたこと。
ハンカチを受け取って立ち上がろうとした時に、足が痛んで態勢がくずれその女の方に顔が近づいて重なってしまった。
唇はぷっくりとしてて柔らかかった。
「なにするんですか!」
さっきとは違う、強気な態度を取り俺を突き飛ばした。
「いってーなっ!わざとじゃねんだから、これはカウントしねんだよ!」
俺の言葉に耳を貸さないで逃げた、真っ赤な顔をした可愛らしい女子。
俺はバッチリ顔を見たが、その女は俺の顔を見ていなかった。