偽物ラブレター


えっ、なんで抱きつかれてんの?

だって、私のこと好きじゃないんでしょ?



それに手紙だって私が投げるまで受け取ってくれなかったくせに……





急に抱きつかれて、頭が現実についていけない。




「このラブレターは本物?」





本物だよ……



言いたいのに、涙がどんどん溢れてくる量が増してうまく声を出せない。



「ふぇっ……」


すきっ




すきっ



必死に頷くことしか今の私にはできない。



大地の腕の中は温かくて心地が良かった。


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