偽物ラブレター



「一生教えてやらない。」



その言葉はどんな表情で言ってるの?
表情の見えない言葉は寂しいよ。



竜志くんの背中に抱きついた。



私から竜志くんに触れるのはいつぶりかな?
私が触れた最後の日に比べて背中は広くて大きかった。



「おぃ、何 俺に触れてんだよ!」


「ごっ、ごめんね、でも今だけ許して?」



今だけでもいいから竜志くんの温かさに触れておきたい。


すると私の方に向きを変えて、私の体を突き放した。



「触れんな!」



竜志くんの温かさは冷たい言葉によって凍った。
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