あの頃の私は知らない。





「わ、私も、楽しかった。園田くんと弾けて、すごく楽しかった」


両手を膝の上でぎゅっと握った。告白するときってきっとこんな気持ちになるんだろうなって思いながら、園田くんのきらきらしている瞳を見た。



「じゃあ、約束」

「え?」


「もっと上手くなったら宇佐美とバンド組んで、一緒に音楽して、そんで有名になってみんなにちやほやされんの。……どう?」



小指を立てて差し出された左手。

その小指に私の小指を絡める。






「それはとても、楽しそう」


私がそう言ったのを聞いて、園田くんは笑った。


それは青空が似合う綺麗な笑顔だった。





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