あの頃の私は知らない。
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「宇佐美って学部どこ?」
「教育だよ。園田くんは?」
「俺は経営学部。サークルとか入ってんの?」
「一応ね、テニスサークル入ってる」
近くの公園のベンチに、二人並んで座った。
お互いに今何をしているのか、当たり障りのない話を交わす。
どちらともなく本題を避けているようだった。
否、私は本題を避けていた。
辺りはもう真っ暗で、冬の静けさを携えている。
公園にはもう誰もいなかった。
はあ、と息を吐くと白く残った。
それを見ると寒さが増したように思えて、両手をこすった。
「……宇佐美、俺」
園田くんが、そっと口を開いた。ああ、本題だな、と思って座り直した。