あの頃の私は知らない。
ぼーっと園田くんと男子が話すのを見ていると、控えめに肩を叩かれた。
振り向くとそこには、女子が三人。からかってきた男子に同調していた子たちだった。
「里奈ちゃん、どうなの?」
「え」
直球で聞かれて戸惑った。
よく考えてみると女子三人のうち一番右にいる子は、園田くんのことが好きだっていう噂のあった子だった。
「園田と付き合ってるの? 園田のこと好きなの?」
「ち、違うよ!」
思ったよりも大きな声が出た。
園田くんたちがこちらを向いたのも分かった。
「別に、そういうのじゃないよ」
小さく呟いた。
そっか、とほっとしたように笑う女子。
なんだ、と言って去っていく周りの人たち。