あの頃の私は知らない。
周りからの視線が徐々に外れていくのを感じて安堵した。
同時に力が抜けていくような気持ちになった。
休み時間終了のチャイムが鳴ってみんなが席につく中、ちらりと園田くんを見た。
あ、と思った。
目が合ったと思ったのに、すぐに逸らされてしまった。
その顔はぎゅっと歪んでいて、胸が張り裂けそうだった。
傷つけた。私が、園田くんを、傷つけた。
心がどろどろと鉛のように重たくなった。ごめん、と乾いた声が落ちた。
その日から私は、音楽室に行けなくなった。
引っ越すという話が出たのは、合唱コンクールが終わってすぐのことだった。
その頃にはもう、目も合わなかった。合わせられなかった。