あの頃の私は知らない。




周りからの視線が徐々に外れていくのを感じて安堵した。

同時に力が抜けていくような気持ちになった。


休み時間終了のチャイムが鳴ってみんなが席につく中、ちらりと園田くんを見た。


あ、と思った。


目が合ったと思ったのに、すぐに逸らされてしまった。

その顔はぎゅっと歪んでいて、胸が張り裂けそうだった。



傷つけた。私が、園田くんを、傷つけた。

心がどろどろと鉛のように重たくなった。ごめん、と乾いた声が落ちた。




その日から私は、音楽室に行けなくなった。

引っ越すという話が出たのは、合唱コンクールが終わってすぐのことだった。

その頃にはもう、目も合わなかった。合わせられなかった。



< 33 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop