いと、ゆかし
無謀だと笑われるだろうか。
諦めろと貶されるだろうか。
先輩は、私の気持ちをどう思うだろうか。
世間は、世界は、私の気持ちを認めてはくれないのだろうか。
だって、好きなんだ。
好きで好きで仕方ないんだ。
それだけじゃ、駄目ですか。
ざくり、足音が聞こえた。
見れば、先輩のお母さん。
「こんにちは……!」
優しげに微笑むその人に、顔を上げる。
「こんにちは、美智ちゃん」
今日も遊んでくれてありがとう、と呟く。
それにゆるゆると首を振る。