いと、ゆかし





その何気ない仕草に、ぎゅうっと心臓が縮む。

格好よすぎるんだ、先輩は。


「ここあ」


低く呟かれた、嬉しそうなその声に、笑みがこぼれる。

ちょうだい、と手を伸ばしてくるのはいつものこと。


「先輩、ココア好きですもんねー」

「ん」


やっぱり渡してしまう私は、お小遣いの大半を貢いでいる気がする。

でも、それでも。






「ありがと」







今日も、言ってもらえた。



じりじりと胸を焦がされる。



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