いと、ゆかし
じわり、滲む。
不思議そうに首を傾げた先輩。
「せんぱいぃ、もういっかい……」
「みっちー」
ぽろぽろ立て続けに流れる涙は止められなかった。
「うぅー……、先輩大好きです……っ」
揺れる視界の隅で、先輩が戸惑っているのが分かった。
混乱させちゃいけないと思うのに、押さえきれない。
「好きなんです、大好きなんです……っ!!」
先輩は、飲みかけのまだ温かいココアを差し出してくれる。
違うんです、ココアが欲しくて泣いてるわけじゃないんです。
心の中で呟きながら、でも言葉にならなくて、ふるふる首を振る。