いと、ゆかし
ココアの缶に視線を落としながら言ってみるけど、反応はない。
分かってる。
知ってる。
先輩は、目を見て話さないと、返事をしない。
「先輩、今日は何して遊びますかっ?」
「……」
顔を覗き込んでそう言えば、先輩はちら、と私を見てから、
「うおぅ」
私の腕を掴んで、すーっとすべり台を滑っていく。
あまりに突然だったから、危うくまだ少し残っているココアをこぼしそうになった。
危ない危ない。
砂場に降り立ち、満足げに笑う先輩は、そのまま私の腕を引っ張って行く。
「?」
黙ってついていってみると、先輩は私をブランコに座らせた。
そして、自分もその隣のブランコに座る。