青空の下月夜に舞う 4

『へぇ。そうなんだ。行ってきていいよ、って言いたいけど、美舞じゃないとも限らないし行こうかな』


美舞……

久しぶりに聞いた名前に、胸が締め付けられる。


『じゃあ、パン屋に行けばいい?15分ぐらいかかるけど』

「……あ、うん。じゃあ15分経ったら、パン屋の前に出てようか」

『いいよ。俺が出てくるの待つから一応20分後に出ておいで。外今日寒いし』

「わかった。じゃあね」



静かに受話器を置いて、軽く息を吐く。

ふぅ。とりあえず店長に言わなきゃな……
1度席を立ち、店長に「兄も来ます」と伝えると、嬉しそうに微笑んでくれた。


店長の家はここの店の裏だ。
雄大が来てから、先に家に行ってていいのかな。
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