青空の下月夜に舞う 4

いつから。ボタンをかけ違えたんだろう。


チャイムを押しながら思い出すのは、二人で笑いながら帰っていたあの日々。


「こんばんはー。店長にお誘いを受けました」

「いらっしゃい。あなたは麻衣ちゃんのお兄さんね」

「雄大です。はじめまして。いつも妹がお世話になってます」

「いいのよ!いいの!麻衣ちゃんにはこっちがいつも助けられてるのよ。さあ、寒いでしょ。入って!」



おっとりした雰囲気の奥さん。
中に入れてもらいながら、相変わらず人当たりのいい雄大は終始ニコニコしていて。

始めてくるお家って緊張するものだろうけど、雄大はまるで来たことがあるかの様に振る舞う。

奥さんの料理を次々と運びながら、気を使う姿にさすがだと思う。

箸やお皿を並べる私とは大違い。


私達に遅れること20分。
店長が帰って来て、雄大と奥さんで運んだ机の上に並ぶ料理はどれも美味しそうだ。
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