青空の下月夜に舞う 4

「ほら、噛んじゃだめ」


雄大が伸びてきた手は、優しく私の唇に触れる。

すると、雄大はポケットに手を入れて、タバコを取り出すと口にくわえて火を点けた。


「あ、灰皿いいよ。自分で取りに行く」


それを見て立ち上がろうとした私を、手で制止した雄大はシンクの横に置いてある灰皿を取りに行くと、冷蔵庫を開けてペットボトルのお茶を手に戻ってきた。


「ほら。泣かないの」

「泣いてないよ」

「泣くのは俺だろ。麻衣じゃないよ」


……泣かないくせに。

瞳は濡れているのに、涙は流さない。


「ここでさ、麻衣を犯すのも考えたけど」


煙を吐き出しながら、カーテンの方へと視線を向けた雄大は。
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