青空の下月夜に舞う 4
「そんなわけないよ」

ボソリと呟いた私に


「まあ……嬉しいよ。俺こんな風に麻衣と並んで歩くなんてもうないと思ってたし」


私だってそう思ってたよ。
雄大の言葉には返事を返さず。


ーーコツコツコツ。

二人の足元から鳴る靴音に神経を集中した。



じゃないと頭がおかしくなりそうだ。


「ずっとさー。何かないかなって考えてだんだよね」


私が返事をしなくても、雄大が話したければ話すだろうし、聞き流す術を身に付けてないとこっちが持たない。


パン屋の帰りにいつも寄るコンビニがもうすぐだと言う所で、雄大が話を止めた。


「コンビニ寄っていい?デザート食べたい」


頭を縦に振った私を見た雄大は、そのまま前を向きコンビニの駐車場へと足を踏み入れた瞬間。

ピクリと反応を見せたかと思うと。



「狂犬がいんじゃん」



面白そうな顔付きに代わる。
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