青空の下月夜に舞う 4
立ち止まった雄大に視線が奪われた私は、その言葉に雄大の視線を辿る。


「……っ、」

「麻衣の女優力の見せどころじゃん」


止まった足は動きだし、先程より僅かに歩くスピードが上がった。


拳を握る。
ダメだ。まさか会うとは思わなかった。

思わず息を飲んだのは、見知ったバイクが視界に飛び込んできたから。


ううん。
バイクだけだったら、私には分からない。

だってバイクの横には、何度も乗った白のワゴン車。


横を通り過ぎた時、中から僅かに聞こえた裸女の笑い声が、私の胸により一層の痛みを与える。



立ち止まることは雄大が許してくれない。
無視をする様な性格じゃないのは、私が一番よくわかってる。
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