青空の下月夜に舞う 4
バイトが終わる10分前。

見たことのない同年代くらいの男の人が来店。


バイトが終わり、外に出て暫くして背伸びをしながら信号で立ち止まり振り向くとその人はタバコを吸いながら後ろの方に居た。


あれは……きっと雄大絡みだな。

勝手に想像して歩き出す。


パン屋に美舞の人が来なかったから、来るとしたら家なのかな。


今日は風が一段と冷たい。

ポケットにいれた手を握り、そろそろカイロも欲しいな、なんて。

呑気に考えていたもんだから。


気が付かなかった。



後ろからゆっくり近付いてきていた車に。


最近の車はエンジンの音が静かだな。



スライドドアが開き、私の横に付けられた黒のワンボックスから伸びてきた手にあっさり掴まった私は、やはり危機感が乏しいに違いない。
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