まるでペットのような彼
久しぶりだったせいか、郁美をのぼせそうになってしまった。

いま、俺の膝枕で郁美が寝ている。


妊娠がわかってから、やたらと眠いようで、少し無理させるとすぐに寝てしまう。




結婚したからって、女性からの誘惑がなくならないのには、参っているが…



この安らぎを手放す気は、ない。






郁美の会社での、噂も耳にする。

『若い男を捕まえて…』とやっかみや妬みだらけの噂が蔓延している。
俺が郁美の旦那だってわかっていても媚びてくる女性社員がいたりもする。

郁美は、なにも言わないけど、きっと耐えているんだと思う。

もっと、郁美を守れるくらいに大きな男にならないといけないと決心が強まる。


男と女なんて、年齢差とか関係なかったりするんだけど、見た目だけに惑わされる輩には、わからないんだろうな。








そんなときに、定期訪問で郁美の会社に行ったとき。

廊下で蹲っている郁美を発見した。


「郁美。」

「えっ?悠?」

俺を見て、ビックリした顔をしている。

「今日は、訪問日だよ。どうしたんだ?」

「…なんでもない。」
郁美は、なんでもないなんて言うが、顔色が悪い。

「また、そうやって強がる。ほら医務室に行こう。普通の身体じゃないんだからな。」
郁美を抱き上げた。

「っへ?は…はる…か…」

「郁美は、黙って俺にしがみついて。なんかあったら心配なんてもんじゃ済まないでしょ?」


そのまま医務室まで行く間に何人かの社員とすれ違ったから、きっと噂になるだろうけど、俺たちは、夫婦なんだから関係ない。




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