まるでペットのような彼
郁美を医務室に連れて行って医務医にお願いする。


「悠…ありがとう。」

「旦那なんだから、当たり前だろ?」

「悠…」

「ん?」

「なんだか、ペットから番犬になっちゃった感じする。」

郁美の言葉に俺は、盛大に笑った。


そういえば、家にいったとき大型犬だと思ってくれと言ったことがある。
その喩えなんだろうが、言いえて妙に填まっている。

たしかに、いまの俺は、過保護になっていて番犬に近いだろう。


「たんなるペットの大型犬が番犬になっただけさ。」
そう郁美に答えた。

俺たちのやり取りに医務医は、驚いていた。



「君たちって、噂と違って恋愛してるんだね。」
そう呟く。


噂ってのは、郁美が無理やり口説いたとか俺を脅して一緒になったとかの類いだろう。

俺は、言ってやった。

「当然恋愛してるにきまってるじゃないですか…
俺からプロポーズしたんですからね。それでは、郁美をお願いします。」

「ああ、任されたよ。噂ってあてにならないって、よくわかったよ。」


それから郁美の額にキスを落として、医務室を後にした。

奈央子さんに連絡をして郁美のことをお願いしてから会社を出る。
郁美のことだから、俺に心配かけまいと無理するだろうから、なにかあったら連絡くれるようにお願いしといた。

受付嬢が誘いをかけてきたが、それをホストのときのようにさらりと躱す。




しかし、大型犬に喩えたからってペットから番犬だなんて郁美には、笑わせられる。





だけど番犬も悪くないな。







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